北の橋

北の橋
1981年のフランス映画。127分

キャスト
監督 ジャック・リヴェット、脚本 ビュル・オジェ、シュザンヌ・シフマン、ジャック・リヴェット
キャスト ビュル・オジェ、パスカル・オジェ、ピエール・クレマンティ、ジャン=フランソワ・ステヴナン

パリの町を原付のバイクで走り回っている若い女性バチストがうっかりよそ見をしていたために、ぼぉーとしている閉所恐怖症らしい女マリーにぶつかりそうになってしまうのだ。なぜか怒ってバイクを乗り捨てしまったバチストとすぐにその場を逃げるように離れてしまうマリーだったが二人はなぜかすぐに再会してしまった、バチストがマリーの頼みををうっかり引き受けると、バチストはマリーに付きまとうようになっていくようになってしまった。
夭逝したパスカル・オジェが母ビュル・オジェと唯一共演した作品なのだ。フランスパリの街を舞台になんとなく散漫だけれどもスリリングなストーリー語が展開されてしまうのだ。
パリの町を原付バイクにまたがって疾走する若いそうな女性、ライオンの彫像に見とれていてバイクを新しく買ったばかりの男性にちょっかいをかけてみたりする。またはトラックの荷台にまたがって移動してきたへんな女はカフェに入るだけで精一杯で息切れしてしまって、店の外からパンを買う少しおかしい閉所恐怖症の女。奇妙なふたりが無理やり出会うという不思議そうなストーリーなのだが。へんなふたりが出会ってもストーリーは一向に展開しない怠慢な展開なのだ。わざとらしく転倒したバイクを乗り捨ててしまったバチストはそもそも何が目的で何をしているのか意味不明でさっはりわからない。マリーのほうはあまり好きあっていそうもない恋人と会おうとしているのはわかるが、閉所恐怖症なのでどこにもいけないのだが、どうやって恋人を探しあてたのだろうか。そんなことはどうでもいいことなのかもしれないが。バチストがマリーの恋人との逢瀬ののぞきをしてしまったのだ、彼女がちょっかいをかけたバイクの男がマリーの恋人ジュリアンのかばんをすり替えようとしているのを見てしまってストーリーはなぜか突然サスペンスになってしまうのだ。
突然だが、謎が多過ぎるのだ。バチストが盗み出したマリーの恋人ジュリアンのかばんから出てきた意味不明な地図や怪しげな記事は訳がわからず謎を呼ぶのだが、それがいったい何を意味しているのかはマリーやバチストや監督や観ている人もまったくわからないようになっているらしい。マリーの知られたくない過去がほのめかされたり、バイクの謎の男がたびたびうっとうしく現れたりしてわざとらしい謎をどんどん深めてしまって、引き込まれていく人もいるらしいのだけれど、それでもなんだかわからない。そしてそのわからなさは最後まで続いていってしまうのだ。謎として提示された謎には見えない謎は答えがないので最後まで答えが出ないのだが、関係ないエピソードで映画は幕を閉じてしまうではないか。
この作品は面白いよ。パリの街を意味もなくさまよう疾走感と、ピアソラの音楽と主人公のふたりの魅力や曇っているようなパリの街やおしゃれなパリではない、ごみがだらけのパリになんともいえない魅力を感じられる変態な人向けのムービーなのだ。そのよくわからない魅力とよくわからない謎で2時間という時間を欲しい人はすごいと思わざるを得ない。
理由はこの映画がほとんどは当たり前だがバチストの主観で作られているという点が最もなことだろう。バチストが見ているようなはずのシーンも出てくるのだ。