銭形平次捕物控 幽霊大名

銭形平次捕物控 幽霊大名
1954年の日本映画,89分

監督 弘津三男、原作 野村胡堂

キャスト 長谷川一夫、市川雷蔵、井川邦子、長谷川裕見子、中村玉緒、渡辺篤

江戸の街で辻斬りが流行して次々と起こり、それに続くように若い娘がさらわれるという事件が多発してしまっている。その犯罪を行っているのは三万八千石の大名で金森頼錦の大名屋敷のものとなぜかわかってしまったが、相手は大名の身分の家臣だから、なかなか手出しがたやすくは出来ないところだ。その難局をなんとしても解決すべく適任者の銭形平次が呼ばれるわけだが、銭形平次がその銘を受けたその日に平次の恋女房のお静が誘拐されてしまう…という筋書きだ。
長谷川一夫主演の「銭形平次捕物控」シリーズの第七作目で、市川雷蔵が共演した名作だ。弘津三男監督はこれがデビュー作となったのだ。
長谷川一夫主演の「銭形平次捕物控」シリーズはなかなか面白いですよ。銭形平次ものだから当然時代劇ですが、お江戸の街(大江戸温泉ではありません)を舞台にすったもんだがあるわけなんだけれども、長谷川一夫の銭形平次が解決する事件というのが一筋縄ではなかなかいかないもので、推理小説のような楽しみがありますし、立ち回りもなかなかの見どころですし、お江戸版の冒険活劇とでもいうべきものですね。
この幽霊大名も辻斬りや人攫いといった非道を行っているのが、大名とわかっていながら手を出すことが出来ない。それを正義の味方銭形平次が解決するという展開でまずひきつけられるのだ。同時にその大名屋敷に夜な夜な大名その人かその幽霊化がふらふらとさ迷い歩くというエピソードがくわえられる。その二つが映画の中盤で重なり、がらりと展開が変わってまた別の冒険が始まるという感じになる。90分という短い時間にこれだけの展開を盛り込めばかなりのスピード感が出て楽しめる内容になっている。外見は時代劇なのだが、江戸という舞台や銭形平次ということを除けば探偵ものとしてみることが出来るのだ。シャーロックホームズやポアロと同じように銭形平次という探偵か難事件を解決するサスペンスドラマなのだ。